概要

 本機構では、新しい技術を用いて教育や学習の効率化や質の向上を支援すること、またそうした技術を開発する取組である、EdTech(エド・テック)に関する研究を実施する。本機構が目指す人材育成理念は、本学で修学する学部生・大学院生、更に社会人から子供までを広く対象として、多くの人に対して、高水準な内容の学習機会を等しく提供することである。そのために、AI(Artificial Intelligence)やIoT(Internet of Things)、データサイエンス(Data Science)等の情報学分野における先端的技術を最大限利活用し、個人の適性や学習の進捗に応じた、高品質な教育・学習環境が、いつでもどこでも誰でも得られることを実現する。それによって、本学における教育の品質を格段に向上させ、本学の卓越性の更なる向上に寄与するだけでなく、我が国の教育や人材育成の質向上にも貢献する。
 本機構における研究目標は、まず第一に、本学における大学教育をアップデートすることをスローガンに、新しい情報通信技術だけでなく、学内に埋蔵されている教育関連データの利活用を通じて、新しい教育・学習手法の研究やツールや支援システム開発(EdTechラボ)、教育の評価手法確立に向けた理論面・実践面両面からの研究を行う。第二に、本学で確立した手法を、他大学や小中学校等の初等中等公教育、産業界における人材育成の場面にも適用し、新しい教育手法や教育プログラムの開発、教育人材の育成などに取組み、教育環境や人材育成事業の改善、更にはSDGs推進にも貢献することを目指す。
 研究の推進にあたっては、オール東大の体制を目指し、学内の教育部局や教育支援部局と最大限に連携をし、更にMIT、マンチェスター大、香港科技大、産総研など、データサイエンス、AI研究や教育で実績のある国内外の機関、産業界において人材育成を積極的に推進する企業との産学連携を積極的に推進する。

目的

 20世紀は科学の世紀と言われるように、この100年は人類の科学的叡智が莫大に蓄積された時代であり、社会も複雑度を増した。次世代を担う人々が世界でリーダーシップを発揮して活躍するためには、こうした膨大な科学的知見を身につけ自分のものとして操り、複雑化した社会に対して領域を超えた知を通じて新しい価値を創出することが求められる。こうした状況に対応できる新たな人材育成、特に優れた若手人材の仕組み、の構築は、本学にとって重要であるばかりではなく、我が国の未来にとって喫緊の課題である。
 そこで、本学が先陣を切って実施してきた教育改革、特にオンライン教育、アクティブラーニング、FD(Faculty Development)、IR(Institutional Research)等の教育工学に新たな知見を加え、 EdTechとしてその学理体系を強化することで、本学において早急に実践に移しつつ、その成果を他に先駆けて世界にむけて発信する必要がある。また、教育や学習を支援するための極めて強力な情報学における先端技術を含むEdTechに関する知見も豊富にあり、これをEdTech分野に適用することも高く期待されている。
 そこで本機構は、まず本学における大学教育のアップデートにより本学の教育の品質を格段に向上させ、本学の卓越性の更なる向上に寄与するだけでなく、さらに初等中等教育機関や政府自治体、産業界と連携し、日本の教育改革及び人材育成推進等の環境を迅速に整備することを目的とする。