スマートシティWG:「都市の新たな価値創造」
経年優化する都市の実現に向けた社会実装

【研究リーダー:越塚 登(東京大学) 町田 収(三井不動産)】

WGテーマ①:都市の新たな価値の研究(2020年度)

近年、スマートシティ(Smart City)の取組が国内外において盛んに推進されている。スマートシティが扱うサービスや分野は、公共交通・モビリティ、物流、観光・地方活性化、教育、医療・健康、防災、セキュリティ、環境、福祉、エネルギー、インフラ維持管理、生産性向上など多岐にわたっている。当研究では、「経年優化」する「持続性のあるサステナブルな都市」の価値、またafterコロナの都市の新たな価値について、デジタル技術を用いた都市情報サービスや都市データの利活用、デジタルツインといった新しい概念からの検討を行う。

WGテーマ②:都市の新たな価値の実現方法研究(2020〜22年度)

都市の新たな価値を、実際のスマートシティとしてどのように実現するかを、都市データを最大限利活用する都市OSの仕組みやコミュニティ活動に基づいて実践的に研究する。その際、以下3点が重要である。

1)個々に都市サービスを提供するだけでなく、サービス提供開始後にも都市OSのAPIを用いて都市サービスを拡張させたり、分野間データ連携の仕組みを用いて、多様なデジタルデータの組み合わせによって実現される新しい都市サービスを提供するなど、情報通信技術やデータを最大限に駆使した都市の全体最適化を実現すること。

2)構築したサービスが固定されるのではなく、経年的に更新・発展する仕組みがスマートシティのプラットフォームシステムである都市OSに組込まれていること。

3)行政やベンダー等からの一方的な機能・サービス提供ではなく、市民参画やベンチャー企業の参画が継続的に行える仕組みを備えていること。

WGテーマ③:経年優化する都市の実現のための社会実装(2021〜22年度)

都市OSに基づいた「経年優化する都心型スマートシティ」の構築を目指して、その中核となる重要な機能を、三井不動産のフィールドに実装することを目指す。

想定アウトプット

2020年度

都市の新しい価値に関して、都市の活動によって生成される都市データの経年的な蓄積や、それによってもたらされる都市サービスの高度化、地域コミュニティーの活性化、より具体的にはシビックテックのような取組などの視点から、「経年優化」の概念を明確化することを目指す。その中でも、デジタル技術やデータによって、空間の機能を高度化し、これまでにない新しい空間を実現することで、リアルな空間の価値を増幅(Augment)する方法論について検討する。この取組は、COVID-19以後の社会における都市に求められる価値観の変化にも整合させる。

また、三井不動産が持つフィールドを事例として、都市OSの在り方を、実際の都市データや、都市サービス・システムの立案・設計を通して実践的かつ具体的に研究し、その社会実験方法についてプランニングする。

2021〜2022年度

経年優化する都市の実現に向けたデジタル技術、サービスの社会実装に向け、都市OSのプロトタイプを用いた社会実験を三井不動産のフィールドで実施する。また、地域コミュニティの活性化にむけて、ワークショップや都市データの活用をテーマとしたアイデアソン、ハッカソン等、ステークホルダーを巻き込む施策を実施する。

更に、デジタル技術を利活用してデジタルツインの概念やVR/ARの技術を取り入れ、リアル空間とバーチャル空間の適切な役割分担を備えた、これまでにない新しい空間を実現し、リアルな空間の価値をより向上させるためのシステムを実現する(リアルとバーチャルが混在した空間を本研究では”6th Place”と呼ぶ)。

研究キーワード

経年優化、スマート・シティ、都市OS、IoT(Internet of Things)、オープンデータ、データ連携基盤、6th Place