第 8 回未来社会研究会 "Sustainable City - 日本橋の未来"
第 8 回未来社会研究会 "Sustainable City - 日本橋の未来"
開催テーマ
いつの時代も、都市は時代とともに進化を遂げてきた。東京は、徳川家康が拠点を構えて以来、400 年も の歴史の中で独自の進化を遂げた。徳川幕府は、水路の開拓、陸路の整備を経て、260 年もの間江戸の街 を継続的に発展させ、江戸を世界一の都市に発展させた。明治に入り、東京府の設置、明治天皇の行幸が、 東京への都市機能一極集中を決定づけた。貯水池の完成・浄水場の通水・地下鉄網の開通・飛行場の完 成・国会議事堂の完成・高速鉄道の開通など、都市化は加速した。戦後に入ると、地方からの集団就職に より、沢山の若者が東京近郊に集住した。再び、東京は世界最大の都市として知られる都市となった。
東京の都市機能を担う重要エリアの 1 つに、日本橋が挙げられる。日本橋は五街道の起点として幕府直 轄の要地に位置付けられた。日本橋は市街の中心地となり、魚市場が立ち並び、問屋が軒を連ね、江戸の 活況に大きく貢献した。日本橋の商業の発展のシンボルの 1 つは、越後屋である。越後屋は、店先売り・ 現金掛け値なし・切り売りなど、一流呉服店の常識を覆す販売手法で成功をおさめ「芝居千両、魚河岸千 両、越後屋千両」と江戸の賑わいの象徴となった。
そして現在、日本橋は再び変化を続けている。2004 年から三井不動産が日本橋の再開発に着手した結果、 中央区は、23 区内一の就業人数増加率・住民増加率を達成し、周辺エリアの利用者数は、1 日 228 万人 に到達した。そして「豊かな水辺の再生」「新たな産業の創造」「世界とつながる国際イベントの開催」を 重点思想として、第三次再開発プロジェクトが推進されている。この再開発において、データを活用した スマートシティの取り組みは、都市の高度化の重要な役割を担う。スマートシティでは、サイバー空間に 集積されたフィジカル空間の膨大な情報を AI が解析し、ロボットや IT を通じてフィードバックされる ことで、そこに生きる人は、地域、年齢、性別、言語等による別なく、各々がサービスを必要な時に必要 な時だけ享受でき、社会全体の最適化の恩恵を受けることができる。
この世界観の実現には、都市データを最大限活用する都市 OS/Agent の基盤整備と、OS/Agent の上で織 りなされるコミュニティ活動の両面が不可欠である。情報通信技術による分野間(交通・観光・教育・健 康・医療・防災等)でのデータ連携と、自治体・デベロッパー・街に生きる市民・街で活躍する組織の協 調が行われることで、都市は次世代の進化を遂げ、その価値を高めていくと考えられる。加えて、都市は、 集客・生産/消費といった機能面/効率面以外の価値を高めることが求められる。一人ひとりが暮らしやす い空間であること、自然災害や感染症の中でもレジリエンスがあり安心・安全であること、ただの集積で はなく交流・創発を生む空間であることなど、ソフト面における変化が今後の都市の価値として着目さ れている。
今回は、「日本橋の未来」と題して 2050 年頃の日本橋の都市を夢想する。スマートシティの取り組みは もちろん、リアル空間・バーチャル空間を含む拡張される都市の概念の未来、ならびに都市としての価 値・役割を「経年優化」させていく取り組みはどのように行われるべきか。それらを更新・発展・拡張させるために、自治体・市民・企業・アカデミアはどのように貢献していくべきか。また新たに勃発する社会課題はどう解決されるべきか。都市・都市 OS/Agent の在り方を自由に議論したい。
日時
2021 年 5 月 18 日(火) 18:00~19:55
場所
オンラインにて開催
プログラム案
17:45 開場・zoomURL 開放・スピーカー接続試験
18:00~18:05 聴講者参加
18:05~18:10 主旨説明 山田大典:東京大学大学院情報学環
18:10~18:40 招待講演1 町田 収:三井不動産 日本橋街づくり推進部 グループ長
18:40~19:10 招待講演2 中塚 麻子:日本橋一の部デザイン協議会 事務局
19:10~19:30 講演 越塚登:東京大学大学院情報学環教授
19:30~19:50 質疑応答・ディスカッション
19:50~19:55 ラップアップ