ダイワユビキタス学術研究館

建物概要

本教育研究棟「ダイワユビキタス学術研究館」は、東京大学の教育研究に資するため、大和ハウス工業株式会社様より、本郷キャンパス内にご寄贈頂いた。当館は、2012年10月に着工し、約1年半の工期を経て、この2014年4月に完成した。2014年4月21日に本学側への引き渡しが完了し、現在情報学環では当館における教育研究を開始している。

これから当館では、ご寄贈のご趣旨に沿い、まず第一に、総合分析情報学コース及びユビキタス情報社会基盤研究センターにおける、ユビキタスコンピューティング分野の教育研究を実施する。第二に、大型空間物を、コンパクトな空間でユビキタス技術を駆使して提供する「ユビキタス空間物アーカイブ」を設置し、世界中の若者の教育に役立てたいと考えている。

当館の建築にあたっては、坂村健教授を責任者として建物のプロデュースを行い、更に建物の意匠設計を工学系研究科・隈研吾教授が担当し、東京大学が一致協力した体制をとることができた。今後、こうしたご寄贈の趣旨をいかし、世界に誇る研究成果と、世界で活躍できる人材の輩出に向けて、取り組んでいきたい。

最後に、本館をご寄贈頂いた、大和ハウス工業株式会社に感謝申し上げるとともに、情報学環の関係教員の皆様、事務の皆様、また本部施設部等、多くの関係者、ご協力頂きました学内外の皆様に深く御礼申し上げたい。


教育研究プラットフォームとしてのダイワユビキタス学術研究館

ユビキタス・コンピューティングやIoTのコンセプトの教育研究のためのプラットフォームとして作られたのが、ダイワユビキタス学術研究館である。主要 な設備機器や環境制御機器等はネットワークにつながれ、オープな API で情報読み取りと制御指示が可能な「プログラマブル建築」となっている。学術研究館を使うスタッフなら、日々の不便をすぐプログラムで解決できるし、その過程で新しいアイデアも生まれるだろう。音声認識で設備機器を制御したり、室内カメラの画像認識よりジェスチャーで制御したり――さまざまな技術をすぐに実際の居住環境で試すことができることは、ユビキタス教育研究のために大きな力になる。

具体的には「ダイワユビキタス学術研究館API」として現在、警報、屋外センサー、屋内センサー、照明、空調、エレベータ、電力消費、位置認識という8系等のAPI群が提供されている。この中で、位置認識は、建物の入口、各部屋のドア、エレベータホールに設置された ucode BLE マーカ――ucode をスマートフォンが読み取れるBluetooth Low Energy 仕様の電波で1秒に3回づつ発信するマーカ――を受信することで、受信者の位置决定できるAPIだ。また、 Wi-Fi アクセスポイントも Wi-Fi測位に適した箇所に設置されており、 そのシグネチャによる位置認識も利用できる。

さらに、これらの API 自体も、研究開発に応じて随時追加予定であり、今後、回路・コンセントレベルの電源個別管理、電気錠、監視カメラ画像、ホールのプレゼンテーション機器のアクセスAPIが計画されている。また、多様な技術を導入できるように、天井板を貼らずにあらわしにして、配線ダクトに固定することでセンサーやマーカーやカメラ等の機器を容易に追加設置できる建物構造としている。

個人のタブレットやスマートフォ ンから環境制御するのが当然ということで、象徴的な意味もあって、例えば筆者の研究室には壁に一切スイッチがない。入室するだけで自動的に照明と空調が作動し、それらの調整もアプリから行う。人感センサーと連動して、スマートフォンの退出を感知しなおかつ部屋に人が残っていなければ、照明と空調を切るようになっている。